研究概要 |
歯周炎の進行に関与すると考えられている種々の臨床的パラメーターが歯周炎の疾病活性の指標になり得るか否かについて、平均21.3ケ月間におけるX線的な骨吸収の変化(研究【I】)および平均4.4ケ月間における歯周ポケットの深さの変化(研究【II】)を基準として検討し、以下の結果を得た。 1.測定部位において疾病活性が高かった部位の割合は、研究【I】では18.5%研究【II】では1.9%であった。2.疾病活性と関連性の認められた臨床的パラメーターは、研究【I】では接触点の欠如、歯肉縁部修復物、歯肉縁部う蝕、初診時骨吸収率50%以上、歯肉の発赤または腫脹、研究【II】では大臼歯部、歯肉縁部修復物、歯肉縁部う蝕であった。3.検討した臨床的パラメーターの大部分である上記以外のパラメーターは、疾病活性との関連性が認められなかった。4.疾病活性と関連性の認められたこれらの臨床的パラメーターでさえ疾病活性の予知あるいは検出における診断確率は低く、それらの臨床的パラメーターによる疾病活性の予知あるいは検出は困難であることが示唆された。 この結果、歯周炎の疾病活性の検討には第一にプラークの量的、質的検討の必要性が示唆されたため、次に歯肉縁下細菌叢を暗視野顕微鏡を使用して検討した。歯肉縁下細菌叢中に占めるSpirochets,Motile rods,Coccoid cells,Othersの比率と初診時あるいは初期治療終了時におけるPlaque index,Gingivalindex,Pocket depthとの間には相関がみられなかった。しかし、初期治療による臨床所見の変化と歯肉縁下細菌の比率の変化との間の関連性においては、Pocket depthの変化量とSpirochets Motile rodsの変化量との間に相関がみられ、Pocket depthの変化量が大きい部位ほど、SpirochetsやMotile rodsの変化量が大きいことが示された。
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