研究概要 |
現在、広く用いられているレジン床義歯はかなりの長時間をかけて作製している。そこで、工学の分野で開発された小型射出成形機を歯科用として一部改良し、この成形機により、新しい義歯床用材料として改良したペレット状のポリスルフォン,ポリエーテルスルフォンおよびPMMAを用い適合性の良い薄肉レジン床義歯の簡易作製法について検討を行なっている。これまでに、射出成形によるレジン床義歯は成形精度および薄肉化に問題があったが、ここでは石コウおよびスプルの形態を改善することにより、これまでの問題が解決される。今年度は、研究計画に沿って研究を進めた。その結果、レジン床義歯作製に関する射出成形システムの開発では、フラスコ,インサートなどの金型機構については新しい金型が開発できた。また、スプルの位置,形態の最適な条件を確立するため予備試験を繰返し行ない満足できる結果が得られた。熱可塑性樹脂(PES,PMMA)材料の最適な射出の成形条件については現在検討を行なっている。歯科理工学的な項目としては、PES,PMMAの残留モノマーについて測定を行ない満足できる結果が得られた。また、熱可塑性樹脂単体の静的強度は高い値を示したが、レジン床義歯の静的強度およびPES,PMMAの金属補綴物との接着については現在検討を行なっている。このように、本年度はテスト用の石コウ模型を数多く作製するためのワックスパターンのマスターモデルを作製するのに長時間をついやしたため、研究計画の進行がややおくれている。そこで、62年度は、これまでに得られた結果を基にレジン床義歯の歯科理工学的な検討を中心に行ない、適合性の良い薄肉レジン床義歯の簡易作製法の実用化を計りたい。
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