研究概要 |
最近、歯科材料の開発は目覚ましい発展を遂げている。歯科補綴分野においても、ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,4-METAレジン,光重合レジンなどの床用材料が開発されている。そこで、これら新素材の特性を構造体としての義歯床に十分に活用するため、本研究では床用材料の最適な試験方法の確立と試験装置の開発を目指している。昭和61年度では、機能時、義歯床に働く応力状態を想定した4点曲げ試験法を用いて、圧印床、鋳造床およよびレジン床義歯の機械的特性に関する研究を行なった。(論文投稿予定)すなわち、4-META含有の接着性レジン保持装置を省略した圧印床義歯に応用した場合と、接着力を期待しない鋳造床およびレジン床義歯との剛性および強度に関する比較検討を行なった。その結果、接着性レジンを応用した圧印床義歯では、剛性および強度は鋳造床義歯とレジン床義歯との中間的特性を示した。しかし、圧印床義歯では破壊がレジン接着面から生じ、レジンが圧印床表面から完全に剥離した。これは保持装置を付与した鋳造床義歯では生じない結果を示しており、臨床例においてもレジン剥離が見られることから、接着性レジンを応用した圧印床義歯ではレジン保持装置の付与が望ましい結果を得た。また、被験者の口腔内において、新・旧義歯にひずみゲージおよび咬合力計を装着し、機能時義歯床に働く応力状態を測定した。次年度においても引き継き測定を行ない、症例数を増やし、義歯床に働く応力状態をパターン化する。さらに検討を重ね、義歯床に働く応力状態をシミュレートしたモデルの開発を目指す。
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