研究概要 |
最近の可視光線重合型コンポジットレジンは、その物性の向上を第一の目的とした研究の所産として、無機フイラーを高密度に配合したいわゆるハイブリッド型コンポジットレジンが主流となっている。その結果、光照射時の光深達性が悪く、深部で硬化不良を生じ易いのが欠点となっている。そこで本実験では、光重合型レジンを実験的に試作し、深部重合性の高い光重合型コンポジットレジン開発の基礎的研究として、開始剤ならびにフィラーの観点から検討を試みたものである。その結果以下のような結果をえた。 1.試作レジンベースと開始剤の検討 開始剤としてカンファーキノン(CQ),N,Nジエチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を使用した場合、レジンペースとしてBisーGMAーTEGDM(トリエチレングリコールジメタクリレート)共重合体の最適量比は、60wt%BiS-GMA40wt%TEGDMであった。開始剤に関しては、光増感剤CQが0.5wt%,環元剤として、DMAEMA0.5wt%の場合が、最適重合率を示した。環元剤については、N,Nジメサルパラトルイジンよりも、DMAEMAが良好な重合性を示した。 2.光重合型コンポジットレジンのフィラーの検討 素材が同一の場合、多結晶よりも、単結晶無機物フィラーの方が光透過性に優れ、良好な重合性を示した。成分からみた場合、窒化ホウ素系粉末は、光透過性が不良で、重合が表在的であった。これに対して、アルミナ,シリカ系粉末は、光透過性に優れ、深部重合性に優れた。形状からみた場合、無定形フィラーに比較して、球状フィラーが、光透過状に優れ、配合率85wt%で、最大の物性(硬さ)を示した。フィラーサイズからみた場合、光透過性、重合性、物性(硬さ)からみると、超微粒子やサブミクロンよりも2〜3ミクロンサイズが最適効果を示した。
|