顆頭位を評価するために、臨床的な評価と画像解析的な評価の両面から研究を進めてきた。 臨床的に評価した顆頭位についての検索を行いほぼ終了した。 画像解析的に顆頭位を評価するために、関節腔隙を前部と後部に区分して前部および後部の関節腔隙の面積ならびに幅径を計測した。顆頭の位置を表すための顆頭位インデックスとして、関節腔隙の前後の面積および幅径計測値の前後比をとってこれまで分析を進めており一応の結果を得ている。顆頭が前方に偏位しているものでは、面積比0.78(SD0.19)、幅径比0.66(0^^<SD>.37)、中央と判断されたものは、面積比1.53(SD0.15)、幅径比1.00(SD0.17)、後方偏位と評価されたものは、面積比1.53(SD0.61)、幅径比1.82(SD0.63)などである。このインデックスの数値は、顆頭の位置そのものを表現するには非常に好都合であった。しかし、研究が進行し顆頭の位置の変化量まで分析の対象としたところ、このインデックスの数値は、顆頭の変位に対し直線性がないため顆頭の変化量を比較するには若干の不都合が生じてきた。そこで、現在これに変わるインデックスを考案し、前者との比較検討を行っている。 顎機能異常者については、症状や顎機能検査により分類分けを行い、症例数の増加に鋭意努めているが未だ十分ではない。したがって、確定的なことはいえないが現在のところ次のような傾向が認められている。臨床的に評価した顎機能異常者の顆頭位の分布については、正常者と比較してほぼ同様の分布であったが、前方偏位の例数が低下し後方偏位が増加する傾向にあった。また、顎機能異常者の患側と健側の顆頭位を比較すると、患側の方に後方偏位が多い傾向を認めた。今後、症例数を増やし、画像解析的に顆頭位を評価していく必要があると考えている。
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