充填材料をはじめとする各種の歯科材料の組識刺激性をしらべる方法としてin vitroにおけるテスト法と、in vivoにおけるテスト法とがある。両テスト法にはそれぞれ特長があるものの、両者の間の関連性という点ではいまだ十分であるとは言い難い。本研究は以上の点を踏まえて、まずin vitroとin vivoでの歯科材料に対する刺激性テスト法の規格化を行い、もって相互の関連性を追求して各種材料の組織刺激性を把握することを目的とした。 1.in vivo(動物実験):歯科用材料の中から比較的に使用頻度の高い充填材料を実験材料として選んだ。動物実験はin vitroにおける実験と生体(臨床使用)との中間に位置しているので、その利点を最大に利用した。すなわち、小動物(ラット)の臼歯部に充填材料を充填し、一定期間後に充填歯を含む歯周組織の組織反応像をしらべた。一般的に行われている断片的な組織観察ではなく、画像解析装置を活用して各組織像を定量的に測定し、組織反応像を数値化し相互比較した。以上の方法ですでに一部の材料について評価を行っているものの、なお引続いて各種材料について次年度にわたって観察を行っていく計画である。今年度の研究計画を通じて動物実験方法についてはほぼ確立できたと考えられる。 2.in vitro(組織培養法):実験材料はin vivoとの関連性を見るため同じ充填材料を用いた。現在まで行われている各種の方法の中から、早く、数量的に結果のわかる短期間培養法を選んだ。また、同時に細胞の形態観察も行った。その結果、材料に対する細胞毒性の程度は先人達の結果と差がでたものもあったが、材料間での毒性の比較では同じ傾向を示すことを確認した。以上、今年度における研究計画を通じてin vivoおよびin vitroにおける各実験法の確立をほぼ終えることができた。引続き、両テスト法間の関連性の追求を行っていく予定である。
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