歯周病の発症に深い関連性があると考えられているグラム陰性菌のBacte-roides gingivalisおよびグラム陽性菌のActinonyces viscosus等の菌体破壊成分が、マウスマクロファージの代謝活性とマクロファージの細胞障害性に、どのような影響を及ぼすかを観察した。 供試菌株として、上記2株とVeillonella parvula、Streptococcus mutdns、Lactobacillus caseiを用いた。それぞれの全菌体、超音波処理による菌体破壊成分、菌体破壊上清成分をマクロファージ・骨粉末培養系に添加し、経日的に培養上清のグルコースの消費率および培養系の骨粉末の溶解性を測定して、菌体成分のマクロファージ活性化に及ぼす影響を解析した。 マクロファージのグルコース消費量を添加菌体の処理法別に比較すると、破壊菌体上清>破壊菌体>全菌体の傾向が認められた。なかでもActinomyces viscosusが、他の菌株よりも高いグルコース消費率が認められ、一方Veillonella parvulaは培養初期において、他の菌株より低いグルコース消費を示した。マクロファージ・骨粉末培養系からの骨溶解性は、添加した菌種により差異があり、Bacteroides gingivalisとActinomyces viscosusが高く、逆にVeillonella parvulaが低くなる傾向が認められた。また、添加菌体の処理法別による骨粉末溶解性も破壊菌体上清>破壊菌体>全菌体とグルコース消費の傾向と一致した。 マクロファージ・骨粉末培養系に5種類の口腔細菌成分を添加したところ、マクロファージの代謝活性を亢進させるものとしてBacteroides gingivalisとActinomyces viscosusが、逆に代謝を抑制するものとしてVeillonella parvulaの破壊菌体上清が認められた。引きつづき、これら菌体上清をSephadexでゲルロ過を行い、各分画成分の代謝活性とその成分の同定を進めている。
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