拇指末節骨の癒合段階の指移によって,顎顔面骨格の成長発育度を判定する方法の開発

1986 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 61570984
• 研究機関: 愛知学院大学
• 研究代表者: 飯塚 哲夫 愛知学院大, 歯学部, 教授 (30064778)
• 研究分担者: 鈴木 信夫 愛知学院大学, 歯学部矯正学教室, 講師 (10064825) ; 近藤 高正 愛知学院大学, 歯学部矯正学教室, 助手 ; 後藤 滋巳 愛知学院大学, 歯学部矯正学教室, 助手 (60142577)
• キーワード: 拇指末節骨 / 骨年令 / 顎顔面頭蓋 / 成長・発育 / 拇指末節骨X線規格撮影装置 / diaphysis / epiphysis

研究概要

顎顔面部の成長・発育段階を明確にすることは、矯正歯科ならびに一般歯科臨床において、極めて重要な事柄である。従来から行われている顎発育と身長の相関、あるいは手根骨を用いた骨年齢による顎発育状況の推定などの方法は、いずれも顎骨の成熟にいたる段階と、成熟の時期を明確にしかも具体的に関連づけて判断するには十分とはいい難い問題を残している。また応用方法や手技についても煩雑な面が多いため、矯正歯科および一般歯科の日常臨床分野での活用が十分行われ難いのが現状である。本研究の目的は顎骨の成長・発育の過程を観察するために、拇指末節骨の化骨、癒合現象すなわちepiphysisの出現からdiaphysisとの完全癒合に至るまでを段階的に分類し、それらの段階と顎顔面骨格の成長・発育との関連性を追求し、一つの指標とすることにある。そのため以前より拇指末節骨の化骨癒合現象の推移と、身体あるいは顎顔面頭蓋の成長・発育との関連について研究を続けている。その結果として、拇指末節骨のepiphysisとdiaphysisは各々増齢的にその厚径を増し、epiphysisとdiaphysisの厚径比率も増齢に従い増加し、その変化には男女間に明確な性差が存在する。上記の数値的および形態的変化により拇指末節骨の化骨癒合現象を6段階に分類した。この分類を用い身体および顎顔面骨格の成長・発育との関連性を追求し、例えばstage 【E_4】が成長の終末に近い段階であり、特に上顎骨ではこれ以後大きな成長・発育は期待出来ないとの結論には達している。今年度は、以前からの研究をさらに精査するため、資料の増加、分析を行い、また現在までの資料の整理をも同時に行っている。さらに拇指末節骨X線撮影装置について、日常臨床での使用をより容易にするための装置の簡易化を計っている。これは各種デンタルX線撮影装置へのアタッチメント開発のため、重量、規格等に多くの問題があるため、専門業者と検討を行っている。

研究成果

• [文献書誌] 鈴木信夫,志村健,山中健次: 日本矯正歯科学会雑誌. 36. 161 (1977)
• [文献書誌] 鈴木信夫,志村健,馬場光男,山中健次,田中進平: 日本矯正歯科学会雑誌. 37. 122 (1978)
• [文献書誌] 馬場光男,後藤滋巳,田中進平,宮島邦彰,山本史郎,山中健次,鈴木信夫: 日本矯正歯科学会雑誌. 39. 70-71 (1980)
• [文献書誌] 後藤滋巳,馬場光男,田中進平,宮島邦彰,池森由幸,山中健次,鈴木信夫: 日本矯正歯科学会雑誌. 40. 162 (1981)
• [文献書誌] 宮島邦彰,後藤滋巳,近藤高正,馬場光男,鈴木信夫,飯塚哲夫: 日本矯正歯科学会雑誌. 42. 535 (1983)
• [文献書誌] 近藤高正,後藤滋巳,宮島邦彰,鈴木信夫: 日本矯正歯科学会雑誌. 44. 735 (1985)