研究概要 |
セスバニイミド1の合成単位4および8を光学的に純粋に新規反応を用いて合成できた。すなわち、分子内軌道相互作用を立体配座固定能の主要因とする2へのビニルグリニヤール反応剤の1,4-付加反応は立体選択的に進行し、3を高い光学純度で与えた。3は合成単位4に能率よく変換できた。また、新規不斉反応剤2は、共役1,4-付加反応ばかりでなく不斉デイールスアルダー反応においても極めて高い不斉誘起能を示すことが分かった。 一方、合成単位7の合成も新規1,4-付加反応剤6を組み込んで成功した。すなわち、酒石酸から合成した5に6を反応させると、高収率、高選択的に共役1,4-付加が進行し、7が得られた。トリメチルシリル基による6のHOMO準位上昇効果が有効に実現されたはじめての例である。7は効率よく合成単位8に誘導できた。 次に、、8と4の結合形成のモデルとして、8とジチアンリチウム塩との反応を検討した。8とジチアンリチウム塩の反応は通常の条件下では進行せず、8のアルデヒドα位の脱プロトン化が優先した。アルデヒドカルボニル基のLUMO準位低下効果および生成するアルコキシドアニオンの捕捉効果を期待してトリメチルクロロシランの共存下反応を行うと、予想通り目的とする9を得ることに成功した。62年度に8と4による1の基本骨格構築を計画している。
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