研究概要 |
2級チオアミド基から容易に生成されるγ,δ-不飽和チオイミデートは、位置及びジアスラレオ選択的にγ-ラクタムを与えることをみいだした。次にβ-ハイロドロキシ-γ,δ-不飽和チオイミデートのヨウドラクタミゼーションを検討した所、高立体選択的に反応が進行して、4-ヒドロキシ-γ-ラクタム体が生成した。本化合物の立体化学は、天然物である(-)-デレキシニンの合成中間体に導くことによって、シス体が優先していることが明らかにされた。又、この化合物を、アルカロイドの合成素子としてとらえ、現在、スラフラミンの合成を行なっている。先の反応はアリル位の水酸基による立体制御であるが、一般にホモアリル位の置換基による立体制御は、困難とされている。しかし、α-アルキル-γ,δ-不飽和チオイミデートのヨウドラクタミゼーションにおいて、3位と5位がトランスの関係になるγ-ラクタムが高立体選択的にえられてくることをみいだした。この化合物の立体化学はX線によって決定された。さらに、近年注目を浴びているアンジオテンシン変換酵素阻害剤のフォセノプリルの合成中間体に導くことによっても、立体化学を明らかにすることができた。チオイミデートのアミノ基に光学活性体を置換することによる、ジアステレロ選択的不斉合成を行なったところ、約3:1の比率でジアステロマーを得ることができた。以上、γ,δ-不飽和チオミデート類のヨウドラクタミゼーションは高選択的に反応することを明らかにすることができ、生成物は多くの生理活性物質の合成中間体になることを検討中である。
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