研究概要 |
1.光学活性配位子の合成 (1),市販の松脂2Kgを処理し、粗アビエチン酸(約600g)を抽出した。(2),各種立体異性体合成のための共通中間体であるデヒドロアビエチン酸エステル(約400g)を得た。(3),A/B環,C-4の立体化学,官能基位置に関する異性体を各種合成した。(4),B環開裂に関連し、二重結合の導入,オゾン酸化,接触還元,ハイドライド還元反応を検討した。目的のアルコール体へのこれらの系での一般的な変換法をほぼ確立した。(5),現存、トシレート経由でホスフィン誘導体へ導くことを検討しておりその一部は終了している。(6),オゾン酸化以外の環開裂反応をも同時に検討したが、良い結果は得られなかった。予想に反しこのステップは難かしく、計画が遅れた。原料畜積を進めており、今後実際の不斉合成反応への応用に関する研究を続行する。 2.ピシフェリン酸アナログの合成 本研究の交付申請書を提出した後に、シノブヒバ(ヒノキ科)に含まれるピシフェリン酸エステル類は強い抗腫瘍作用ならびに黄色ブドウ球菌,枯草菌,変形菌などに優れた抗菌作用のあることが報告された。上記1.の合成中間体とピシフェリン酸類は構造的に類似しているので数種のアナログを合成した。すなわち、A/B環cisでC-4の置換基をC-1へ移した化合物をニトロ化経由で数種の標記アナログへ導いた。現在、これらの抗腫瘍作用と抗菌作用の検討を依頼中である。
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