本研究は沢瀉の化学的品質評価法を確立するものである。 まず、化学的品質評価法の基礎研究所として数種の生薬沢瀉とその基原であるサジオモダカ塊茎より22種、計の55種の化合物を単離し、それぞれの構造を明らかにした。この中、47種が新規化合物であった。なお、台湾産ならびに韓国産沢瀉に関しては、研究に着手して間もないために、また報告すべき結果は出ていない。 次に、沢瀉の化学的品質評価法としてHPLCによるalisol類の同時分離定量法を確立した。さらに、確立された分析法を応用し、産地を異にする十数種の沢瀉についてalisol類の分布を調べた。その結果、産地によってalisol類の含量ならびにこれらの組成比に顕著な差がみられ、本定量法が沢瀉の化学的品質評価法として有用であることが立証された。 最後に、alisol類の含有量と薬理効果の相関性の検討を試みた。すなわち、主として抗脂肝作用を指標に、産地の異なる沢瀉のエキスについてGPT抑制作用ならびに抗脂肝作用を指標として薬理効果の相違を調べた。その結果、これらの活性の度合はalisol類の含量と相関傾向が認められた。
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