研究概要 |
架橋【C_(10)】双環系、及びその合成原料となる【C_9】双環系について、合成と反応性の研究を行い、またその構造化学的課題にも検討を加え、次のような知見を得た。 1.ビシクロ[3.3.1]ノナンジオン類(【1.!〜】R=H)に対する環拡大反応を利用し、ビシクロ[4.3.1]デカンジオン類(【2.!〜】R=H)の大量合成を行った。【2!〜】は分子内アルドール閉環により種々の置換三環性化合物(【3.!〜】【4!〜】)に変換後、ルイス酸処理し、他の方法では合成困難な置換アダマンタン(【5!〜】)へと導いた。また【1!〜】から【2!〜】への過程で遭遇する「環系の反応選択性と立体化学的要因の関係」の解明のため、立体異性体を用いて詳細な検討を加え一つの指標を示すことに成功した。 2.次に、【1.!〜】について、その立体配座を拘束するため9位置換系二種(R=Me,【R_2】=【〈(^0_0)】]の高効率合成を行い、これを用いたプロトアダマンタン(【3!〜】)への選択的合成経路を確立した。 3.2で得た化合物に関して、配座固定に伴う3,7位(fork head)間の相互作用を種々観察するとともに、立体的歪みの開放を駆動力とする特異な分子内酸化還元反応を見出した。 4.ビシクロ[4.3.1]デカン類についてその核磁気共鳴スペクトルを検討し、この環系の最も安定な立体配座の推定に成功した。また【1!〜】で得た三環性カゴ状化合物すべてについて二次元NMR、シフト試薬を駆使した化学シフトの同定を行い、この系における置換基効果を推定することができた。 JA01 KA
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