研究概要 |
本研究課題については次の各点より検討を行い、以下の結果を得た。 1.カテコール,フェノールなどのように被酸化部位に解離し得るプロトンを持つ物質の酸化電位が、ピリジンのような弱塩基の共存によって低下する様子をアセトニトリル中で詳細に検討し、低下の度合,添加する塩基の強さ並びに量との間の関係についての知見を得た。 2.上記現象が表面をピリジン修飾したグラッシーカーボン電極でも観察されるかどうかを調べるため、安定な修飾法の検討を行い以下の方法、すなわち表面を研磨した電極上にビニルピリジンのキシレン溶液を置き、熱を加えて重合を起こさせることによってポリビニルピリジン膜を表面に非可逆的に吸着させる方法を確立した。 3.上記修飾電極を用いてカテコール,及び対称物質としてN-メチルフェノチアジンのサイクリックボルタンメトリーを行い、前者の場合溶液中にビリジンを添加した場合と類似のプレピークが観察されること、後者の場合修飾非修飾電極の間に差は認められないことを確認した。 4.電気化学検出器の作用極に上記修飾処理を施し、フローインジェクションモードにおけるカテコール検出の様子を検討した。その結果、例えば0.6Vにおける検出感度が非修飾電極に比べ約2倍以上高いことが確認された。同条件下、N-メチルフェノチアジンに対する挙動には両電極間に差は無かったので、ひとつのセル内に両電極を並例に配置し流れる電流の差をモニターすればカテコールにのみ感応する検出システムが原理的に作製可能であることが示された。今後、セルの設計,製作を行う予定である。
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