研究概要 |
化学発光検出装置は2台の高圧送液ポンプとフロー式化学発光検出装置により組み、ルミノール誘導体を試料として基礎的な条件を確立した。過酸化水素・ミクロペルオキシダーゼ系でイソルミノールを試料とした場合、1fmol,ルミノールを試料とした場合100amolという高感度な検出が可能となり、また定量性も良好であった。長鎖不飽和脂肪酸としてアラキドン酸とエイコサペンタエン酸(EPA)を選び、化学発光標識化剤としてN-(4-アミノブチル)-N-エチルイソルミノール(ABEI)を用いて標識化条件を検討した。各脂肪酸のメタノール溶液とABEIを窒素気流中、ヨウ化-2-クロロ-1-メチルピリジニウムおよび34-ジヒドロ-2H-ピリド〔1,2,a-〕ピリミジン-2-オン存在下、90℃で30分の反応によって充分な標識化が行われることを確認した。この試料のメタノール溶液をHPLCで分析した。HPLCの条件は逆相分配クロマトグラフィーを用い、メタノール-リン酸緩衝液(PH6.5)の移動相でラベル化試料は良好な分離を示した。また未反応のABEIは保持されなかった。EPAの検出限界は約200fmol,検量線は2pmolから2nmolまで直線性が認められ、再現性も良好であり、この条件で鎖長【C_(14)】〜【C_(20)】、不飽和度0〜5の脂肪酸の分析が可能であった。本法の生体試料への応用として、ヒト血清中のEPAの定量を検討した。内部標準物質としてマルガリン酸を用い、クロロホルム-メタノール(2:1)で抽出し、この試料について先の定量操作を行なったところ、血清中の主要な不飽和脂肪酸11種のピークが妨害もなく検出された。血清に対するアラキドン酸、EPAの添加回収率は100%近い値が得られ、血清中のEPAの定量値は0.5nmol/mlで、他法の報告値とよく一致した値が得られた。また他の脂肪酸の存在比も文献値と同様な結果が得られ、本法が生理活性不飽和脂肪酸の定量法として充分な感度を有していることが確認された。
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