研究概要 |
1.プロリン特異性エンドペプチダーゼの精製とアミノ酸配列決定・ウシ脳より酵素を均一に精製し、N末端より20のアミノ酸配列を明らかにした。この配列はこれまで報告のあるペプチダーゼ,プロテアーゼとは全く異なる配列であった。 2.インヒビター誘導体の開発と酵素阻害活性:アルデヒド誘導体インヒビターとしてZ-prolinal,Suc-Pyr-prolinal,Suc-Pro-prolinal Z-Pro-prolinalを合成した。それらについて、ウシ脳から精製したプロリン特異性エンドペプチダーゼに対する阻害活性について調べた結果、Z-Pro-prolinal,Suc-Pro-prolinal,Suc-Pyr-prolinal,Z-Prolinalの順となった。 3.インヒビター投与による脳内酵素活性の変動:Z-Pro-prolinalとZ-Gly-Pro-【CH_2】clの両インヒビターについてマウス腹腔内に投与(3mg/マウス)後、脳内での酵素活性の変動を調べた結果、1時間後に脳内各部位の活性が20%まで低下し、24時間後50%まで回復した。 4.インヒビターの抗健忘作用:マウスを用いたStep down法,Step through法,レバー押し法などの記憶実験法を確立し、この方法を用い抗健忘作用を調べた。まず、DeWiedらの言うバソプレシンについてその抗健忘作用を調べたところ、再現性が確認できた。そこで、スコポラミンを記憶喪失剤として用い、上記3で合成した化合物について抗健忘作用を調べた結果、どの方法を用いてもZ-Pro-prolinal,Suc-Pro-Prolinal,Suc-Pyr-prolinal,Z-prolinalの順に効果が得られた。これらの結果は、阻害力と抗健忘作用に良い相関が見られ、これまで我々が認めてきたデーターがさらに裏づけられた。
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