研究概要 |
B16マウスメラノーマは、メラノーマ種属間共通抗原である【GM_3】ガングリオシドを細胞膜表面上に表現している。B16メラノーマ細胞中には【GM_3】生合成に関与しているシアリルトランスフェラーゼが存在しており、その比活性は対照細胞に比べて 百倍以上、活性が上昇していることを見出した。シアリルトランスフェラーゼは膜結合酵素であり、精製の困難なタンパクの一つである。現在まで、その完全精製は成されていない。 B16メラノーマは、本酵素精製のよい出発材料である。B16メラノーマを大量に調製し、本酵素の精製を試みた。この酵素は膜に強く結合した酵素で活性はミクロソーム画分に回収された。0.5%のTritonX-100 or CF-54により全活性の約30%が可溶化された。この可溶化画分をハイドロオキシアパタイト,Q-セファロースカラムクロマトグラフィーにより、約50倍部分精製することが出来た。最終的な精製は、lactosyl ceramideを不溶化したAffinityカラムクロマトグラフィーにより行なった。酵素活性の一部は、カラムに吸着され、pH7.0の溶出液により回収することができた。精製画分は、充分なタンパク量が無いため、正確な比活性を求めることが出来なかった。今後、出発材料を更に大量に調製し、完全精製を試みたいと考えている。 本酵素の経適pHは 5.3,二価イオンは要求せず、また、lactosylceramide以外にも、asialo【GM_3】,Gal-cer,paragloboside に対しても転移活性を有していた。また、アシアロムチンに対しても合成活性を有していた。これらの活性が、複数の酵素によるのか否かも、今後検討していきたいと考えている。
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