研究概要 |
枯草菌を大量に培養し、tRNAを大量に調製した。その中から数種のカラムクロマトグラフィーを利用して、複雑なウリジン誘導体である5-カルボキシメチルアミノウリジンをアンチユードン1字目に含む、グリシンおよびリシンtRNAを精製した。次にアンチコードンのタクレオチド配列を入れ換えるために、それぞれのtRNAをRNase【T_1】またはRNase【I】で半分子に限定分解し、カラムクロマトグラフィーとゲル電気泳動の組合せで単離精製した。一方、入れ換えるための未修飾ウリジンを含むオリゴヌクレオチドを合成した。グリシンのアンチユードンであるUCC,リシンのアンチユードンであるUUUはそれぞれpUpとRNAリガーゼで合成した。なお、これらのオリゴヌクレオチドは一部【^(32)p】で標識し、酵素による修飾での変化を追跡できるようにした。アンチユードン1字目に未修飾ウリジンを含むtRNA再構成は次のように行った。アンチユードン付近を欠損したtRNA【5^'】半分子と【3^'】半分子をあらかじめアニーリングにより相互作用させておいて、アンチユードンオリゴヌクレオチドの両末端への結合を容易にする。それをRNAリガーゼで連結させた。再構成tRNAはゲル電気泳動で精製し、酵素による修飾反応の基質とした。本年度中では、カルボキシメチルアミノメチル基部分の基質となる化合物の探索は難しいと思われたので、まず修飾酵素活性の発見と至適条件を検討した。酵素画分として枯草菌,および大腸菌のS-30画分およびS-100画分を利用した。二次元薄層クロマトグラフィー上での挙動変化でアンチユードン1字目の【^(32)p】-Uが変化を受けたかどうか検出する方法で検討中であるが、現在までのところ、酵素活性を捉えられないでいる。修飾塩基として選んだものがあまりに複雑すぎる構造を持つので困難さを増しているようなので、次年度は単純な5-メトキシウリジンについても検討する予定である。
|