研究課題/領域番号 |
61571064
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 共立薬科大学 |
研究代表者 |
佐藤 良博 共立薬科大学, 薬学部生化学教室, 教授 (20050726)
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研究分担者 |
榊原 由美子 共立薬科大学, 薬学部生化学教室, 助手
小田 泰子 共立薬科大学, 薬学部生化学教室, 講師 (20050750)
SAKAKIBARA Yumiko Kyoritsu College of Pharmacy
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 微小管 / 合成エストローゼン / ジエチルスチルベストロール / 発がん / Chinese hamster V79細胞 / turbidity measurement / electron microscopy |
研究概要 |
合成エストローゼンのジエチルスチルベストロール(DES)は、ヒトに対し発がん活性を示すことが知られている数少ない医薬品の一つである。我々は、DESがin vitroで微小管の重合阻止活性を有することを初めて証明し、DESの発がん機序の一つとして微小管に対する作用が関与する可能性に焦点をおき研究を行ってきた。すなわち、微小管は、真核細胞生物の細胞骨格の役割を果たす他に、細胞分裂における紡錘糸の重要な構成々分でもある。従って、微小管に対し強力に作用する物質は抗がん物質にもなりうる。ビンクリスチンはその代表例である。本研究は各種のDES誘導体を合成し、次いで精製した微小管構成タンパク質に対する作用、および培養細胞に対する作用を調べDESの発がん活性解明の基礎研究を行った。 〔実験結果〕 DESおよびmeso-hexestrolを原料として、各種の立体異性体、モノおよびジメチルエーテル体、ヒドロキシ体、エポキシ体の合成、および鏡像体の光学分割を行った。微小管タンパク質はブタ脳より分離し、これよりPC-tubulin、S-tubulin、MAP2およびtauを得た。このタンパク質を用い、合成したDES誘導体のin vitroでの作用を濁度測定、電顕観察により調べた。その結果、特にmeso-hexestrolとE、E-dienestrolは微小管タンパク質から新しいタイプのリボン構造の形成を誘導すること、さらにdl-、(+)-および(-)-hexexstrolにその活性の差を見出した。また誘導体の一部につきChinese hamster V79細胞に対するコロニー形成率および染色体数に及ぼす影響を調べ、構造活性相関を明らかにした。最近、DESの発がん作用の1つとしてDESが代謝される過程で生ずる活性酸素によるDNA中のデオキシグアノシンの変化が提出されてる。本研究における微小管重合阻止の活性とあわせ、重要な知見と考えられる。
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