研究概要 |
モルモット盲腸紐平滑筋細胞の単離法を確立し, その生理・薬理学的性質および組織・形態学的検討を行なった. 1.細胞調製法の検討 哺乳動物の平滑筋細胞を単離する方法として, 従来より細胞間の結合組織であるコラーゲン線維を市販のコラゲナーゼで酵素的に処理して調製する方法がとられてきた. しかし, この方法は, viability,yieldなどの点で解決すべき点が多かった. また, 市販のコラゲナーゼ標品は製造Lotにより活性が大きく変動し, 平滑筋研究に支障を来していた. 本研究では, 高純度のコラゲナーゼ標品に微量のパパインを組合わせることで, 筋肉特有の収縮機能を保持した平滑筋細胞を高収量で得ることができた. 2.単離平滑筋細胞の形態・組織学的検討 単離操作による細胞の損傷状況を透過型および走査型電子顕微鏡を用いて検討した. 組織中の細胞とは異なり, 単離細胞は張力がかかってないため若干収縮した状態であった. アゴニストで収縮させた場合の細胞内の構造変化も組織の場合と大きく異なっていた. しかし, 細胞内構造および細胞膜の構造は十分保たれており, 単離操作により組織学上の大きな変化はなかった. 3.単離細胞の生理・薬理学的性質の検討および平滑筋研究への応用 単離した細胞は種々のアゴニストにより収縮し, また, 拮抗薬でこの収縮は抑制された. 細胞内カルシウムイオン動態をカルシウムと結合して蛍光を発するfura2とコリンエステラーゼ阻害剤(DFP)の組合わせで測定する方法を開発し, 筋細胞収縮に伴う細胞内カルシウム動態を検討した. 以上, 我々が開発した単離調製法で調製した平滑筋細胞は平滑筋研究に十分導入できるものと確信している.
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