研究概要 |
1.延命草乾燥薬のメタノールエキスからジテルペノイド成分TrichorabdalB(TB)その他を単離し, 生理活性の検索に用いた. Z.ACTH刺激条件下においてラット副腎遊離細胞のステロイド産生を抑制する化合物, TB, TrichorabdalC, LongiKaurin類, Nodosine等のID50が15〜30μMにあることを明らかにした. またこの作用の活性部位の一つはα-methylene Cyclopentanoneと判明したことから, ent-Kaureneを原料として15-0×0 Kaureneを経て, その7, 9, 12位にそれぞれ水酸基を導入した抑制効果の強い化合物を合成した. また15-hydroxy Kaureneはsteroid産生増強作用を示した. 3.ラット, マウスの生体内でTBはcorticosterone産生増強効果を示した. 副腎遊離細胞に対する抑制効果とは逆のこの増強作用は中枢を介することが推定でき今後はこの点を明らかにする. また15-hydroxy Kaureneは遊離細胞系におけるのと同様にsteroid増強作用を示し, 15-0×0・Kaureneは弱い抑制効果を示した. 4.TBが生体内ではsteroid増強効果を示したことから推測できることであるが, 血液脳関門の開放効果はなく, また開門透過生を抑制する効果もなかった. 今後は生体内steroid産生増強効果を臓器レベルから解明していく. この増強効果は古来延命草が別名"ヒキオコジ"として体力増強作用を示す一因とも考えられる興味あるところである.
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