研究分担者 |
津川 尚子 神戸女子薬科大学, 薬学部, 助手
竹内 敦子 神戸女子薬科大学, 薬学部, 助手
増田 園子 神戸女子薬科大学, 薬学部, 助手 (90157206)
岡野 登志夫 神戸女子薬科大学, 薬学部, 講師 (20131542)
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研究概要 |
側鎖構造の異なるビタミン【D_2】系と【D_3】系関連化合物の代謝と生理活性に関する比較研究を行い、次のような成果を得た。 まず、24R,25-【(OH)_2】-【D_2】,24S,25-【(OH)_2】-【D_2】,【^(22)△】-24,25-【(OH)_2】-【D_3】,【^(22)△】-24-0×0-25-OH-【D_3】22、24,25-【(OH)_3】-【D_3】を化学合成で、また25-OH-【D_2】及び1.25-【(OH)_2】-【D_2】をin vivo合成で得ることに成功した。次にこれらの合成標品と市販の【D_3】系代謝物標品を用いてラット及びニワトリ血漿ビタミンD結合蛋白質(DBP)並びにリセプターとの結合性を検討し、重要な知献を得た。特にDBPとの結合性において、24.25-【(OH)_2】-【D_2】は24、25-【(OH)_2】-【D_3】に比べてかなり低値を示し、かつ24.25-【(OH)_2】-【D_2】のR体とS体でも結合性に相違のあることを明らかにし、血漿中の24、25-【(OH)_2】-【D_2】を定量する場合、それぞれの標品を対照に定量しなければ大きな誤差を生じることを発見した。これに対し、1.25-【(OH)_2】-【D_2】と1.25-【(OH)_2】-【D_3】の市販リセプターに対する結合性においては両者ほぼ同等であり、この場合は市販の1.25-【(OH)_2】-【D_3】の標品を対照にして1.25-【(OH)_2】-【D_2】の定量が可能であることを明らかにした。このように、血漿中の【D_2】系及び【D_3】系代謝物の正確な分別定量法を確立することに成功した。この定量法を用いて、【D_2】及び【D_3】の同量をビタミンD欠乏ラットに経口投与したときの血漿中の各代謝物を定量し、ビタミンD自身、25-OH-D及び24、25-【(OH)_2】-Dでは【D_3】系が【D_2】系に比べて優位に出現するのに対し、1.25-【(OH)_2】-【D_2】と【D_3】では途中の代謝過程では差があるものの、実際の活性型である1.25-【(OH)_2】-Dの生成量には差がないことから、ラットに対して両者の生理活性の間に差が認められない理由が、ほぼ明らかにされたものと考えている。今後は【D_2】系と【D_3】系化合物の間に毒性の差があるかどうか、【D_2】系化合物に特種な生理作用があるかなどについて検討していきたい。
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