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1986 年度 実績報告書

難溶性薬物に関する系統的な溶解速度理論の構築と応用

研究課題

研究課題/領域番号 61571092
研究機関東京大学

研究代表者

中川 富士雄  東大, 医学部, 教授 (70010220)

研究分担者 山本 康次郎  東京大学, 医学部, 助手 (70174787)
幸田 幸直  東京大学, 医学部, 助手 (40143482)
齋藤 侑也  東京大学, 医学部, 助教授 (90162239)
キーワード溶解速度論 / 粉末薬物 / べき関数 / 有効表面積 / 投与量依存性 / 消化管移動 / 速度論モデル
研究概要

難溶性薬物のフェニトイン(PHT)は、散剤投与時の吸収率が錠剤投与時に比べて低いばかりでなく、投与量の増大に伴って低下する。この吸収率の投与量依存性は、PHT結晶性粉末の濡れの悪さによる溶解の遅れに起因するものと考えられる。そこで、この吸収率の投与量依存性の機構を解明するため、薬物の量を考慮した溶解過程に消化管内での薬物の移動と吸収・消失の過程を組み合わせた速度論モデルを構築した。
1.疎水性粉末薬物の量と有効表面積の関係に基づく溶解速度論
従来の多粒子系の溶解理論では、粒子の形状は一定で、真の表面積を有効表面積として取り扱ってきた。しかし、疎水性薬物粉末における溶出は、薬物量が増すにつれて、単位体積あたりの有効表面積が減少することが認められた。この現象は、粉体が表面張力により一定面積の液面上に浮いているという物理条件では粉末量が増すにつれて粉末粒子の自由な運動が妨げられることによるものと考えられる。そこで、液面上に浮いた状態の疎水性粉末薬物の量と有効表面積との関係をべき関数を用いて解析することにより、薬物初期量の違いによる溶出パターンの変化がよく近似できた。
2.PHT散剤における吸収率の投与量依存性のモデル化
PHT散剤の吸収の投与量依存性を説明するため、消化管通過過程に前述の溶解過程を組み合わせた薬物速度論モデルを作成した。このモデルは消化管通過速度過程を一次とし、溶解速度過程はべき関数であらわされるものとした。また、薬物の吸収は一次で消失はミハエリス・メンテン速度過程とした。モデル式により計算したPHT散剤からの吸収率は投与量の増加に伴って減少し、実測値とほぼ一致した。このモデルは血中濃度の時間推移を十分に模擬することはできなかったが、経口投与後のPHT散剤の投与量依存性を理論的に説明することができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 山本康次郎: 薬剤学. 46. 216-221 (1986)

  • [文献書誌] 山本康次郎: 薬剤学.

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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