研究概要 |
本研究は老化におけるアドレナリン受容体機構とその生理的反応との関連及びそれら受容体機構を取り巻く生体膜の構成・性質との相互関係をウィスター系雄生ラット(2;12及び24ケ月齢)の大脳皮質, 耳下腺, 心室筋で検討した. 1.大脳皮質:(^3H)Prazosin結合でみたα_1-レセプター数は, 老化で減少した. しかしnorepinefhrine(NE)刺激による(^3H)inositolからの(^3H)inositol phosphrtesの生成能は老化で増大し, NEのEC_<50>値は老化で減少した. 老化により膜の総リン脂質(P)量は変化しなかったが, コレステロール(c)量は増加し, その結果C/Pモル比は老化で上昇した. また膜粘性は老化に伴い上昇した. 2.耳下腺:NE刺激による電解質分泌反応(K^+放出)は, 老化で減弱したが, isoproterenol(ISO)刺激による同分泌抑制反応は変化しなかった. (^3H)Pragosin結合でみたα_1-レセプター数は老化で増加した. NE刺激による(^3H)inositol phosphrtesの生成は老化で減弱し, そのEC_<50>値は増大した. (^3H)Dihydroalfrenolol結合でみたβ-レセプター数は老化で減少したが, ISO刺激によるcAMP生成能に変化はなかった. 老化によりP量は変化しなかったが, C量は減少した. その結果C/Pモル比は老化で減少し, 膜粘性は老化に伴い低下した. 3.心室筋:(^3H)Prazosin結合でみたα_1-レセプター数は老化で減少し, その結合親和性は高まった. NE刺激による(^3H)inositol phosphatesの生成は, 老化で減弱しそのEC_<50>値は増大した. 老化によりP量は変化しなかったが, C量は減少した. その結果C/Pモル比は老化に伴い減少し, 膜粘性は低下した. 老化によるアドレナリン受容体の変質あるいはその受容情報伝達系の障害には, 生体膜脂質二重層の構成及びその物理的性質の変化が大きな一つの因子であること考えられた.
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