研究概要 |
現存までに知られている肝癌発癌物質で最も強力なアフラトキシン【B_1】をモデル化合物として、これを代謝活性化する酵素の特異性と肝癌発生の闌連性を調べる為に、まず発癌性試験に用いられている実験動物およびその他の実験動物に関して、アフラトキシン【B_1】突然変異原性を指標として感受性の比較を行った。PCB投与をした各種実験動物よりS9分画を調製し、それを用いて突然変異学性原現活性を比較したところ、ハムスター由来S9に最も高い活性が認められ、ウサギ,モルモット,ラット,マウス,スンクスの順に活性が低下していった。ハムスターの活性は、通常の突然変異原性試験に用いられているラットのS9の100倍以上であった。これはハムスター肝にはアフラトキシン【B_1】を代射活性化する酵素が高濃度に存在していることを手唆しているので、次いでハムスターに3-Methylcholanthrene及びPhenobarlistal等の薬物代謝酵素誘導剤を投与しS9分画を調製し、同様にアフラトキシン【B_1】における突然変異原性活性を比較してみると、3-Methylcholanthrene投与のS9分画に高い活性が認められた。同様に肝ミクロゾーム分画を用いて比較してみても、3-Methylcholanthrene投与のハムスター肝ミクロゾームに高い活性が認められた。更にアフラトキシン【B_1】の子牛胸腺DNAへの結合代謝物の生成量を指標とした場合も同じ結果が得られた。 以上の結果は、ハムスター肝ミクロゾームには、アフラトキシン【B_1】を特異的に代謝性活化する酵素が高濃度に存在することを示唆するものであり、これがチトクロームP-450のある分子種の特異性に由来する可能性を更に検討する為に、3-Methylcholanthrene投与ハムスターの肝ミクロゾームよりチトクロームP-450の分離精装を討みた。その結果、3種類のチトクロームP-450が得られ、その1種にアフラトキシン【B_1】の突然変異原性に高い特異性をもつものが得られた。
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