研究概要 |
血小板膜表面免疫グロブリンG)以下PAIgG)や血小板膜表面補体第3成分(PAC3)を測定することは特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断に欠かすことのできないものとなった。我々は免疫ペルオキシダーゼ法により、これらを測定し、臨床的意義の解明に成果をあげた。 次いで、ITPや全身性エリテマトーデス(SLE),Evans症候群などの一連の自己免疫疾患について血小板膜表面に吸着している他の免疫グロブリンIgM,IgA(PAIgM,PAIgA)などについても平行して測定し、臨床症状と比較検討したところ、興味ある知見が得られたので、第33回日本臨床病理学会総会で発表した。現在若干の症例を追加して論文にまとめ、投稿中である。新たに得られた知見としてはITPと血小板減少を伴った他の自己免疫疾患との間に明らかな差が認められなかったこと、ITP症例で上記4項目を測定できた12症例について検討したところ11症例でPAIgGの上昇を認め、そのうちPAIgA,PAIgMも同時に上昇している混合型の症例で治療に低抗する傾向が伺われたことなどがある。 白血病の治療、とくに血小板輸血の効果と血小板抗体産生の状況を検討するという課題に対しては現在検討中である。方法の簡略化ないし検査室レベルでも可能な方法に改良するという目的もあり、マイクロプレートの使用だけで測定できる簡易法を血清中の抗血小板抗体検出のために開発中である。若干の改良により臨床応用が可能なところまでいっているので、62年度の学会に発表したいと考えている。また、我々が従来から行ってきた免疫ペルオキシダーゼ法の他にMicro ELISAシステムを用いた一つの方法としてcompetitive solid phase EIA法があるが、これと免疫ペルオキシダーゼ法との比較を行い、紛糾している成績の評価についての検討も加えたいと考えている。
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