研究概要 |
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は不明の原因で発生した自己抗体によって血小板が破壊される自己免疫疾患と考えられている. ITP患者血小板では膜表面に付着する免疫グロブリンG(PAIgG)の増加していることが報告され, ITPの診断基準の一つとして注目されている. 又, ITPとの関連が注目されている全身性エリテマトーデス(SLE)についてもPAIgG, PAIgM, PAIgAおよびPAC3を測定し, 両疾患の測定値の比較を行った. ITPではSLEに比し血小板減少や血小板寿命短縮の程度はより顕著であったが, SLEの中には血小板減少の程度がITPとかわらない症例も存在した. 一方, SLEではPAC3の上昇する頻度がITPより少なかった. しかし, ITPとSLEの成績を総合して評価した時, PAIgGやPAIgMの単独上昇例よりも, PAIgGとPAIgM, PAIgA, PAC3などが複合して上昇する症例の方が血小板減少の程度が強いことがわかり, これらを平行して測定することの重要性が示唆された. 一方, PAIgG測定法には多数の報告があり, 正常値も様々な値が示されている. 我々は1986年よりMicro ELISAシステムによるPAIgGの測定法を検討し, 再現性のある成績が得られるようになったので, 従来より実施している免疫ペルオキシダーゼ法との比較を行った. その結果, 原理の異なる方法間, 即ち, Micro ELISA法と免疫ペルオキシダーゼ法とでは同一の酵素標識抗体を用いた場合に限って相関関係が認められた. さらに, 頻回の血小板輸血を受けている患者の同種抗体の検出に対し, より簡便で, かつ鋭敏なPBIgG検出法の開発を試みた. アビジンービオチンーペルオキシダーゼ複合体法を利用し, 肉眼的に判定できる簡易法を開発することができた.
|