研究分担者 |
大野 真理子 , 医学部第2内科, 医員
久田 哲哉 , 医学部第2内科, 医員
小池 繁夫 , 医学部第2内科, 講師 (30010127)
大橋 靖雄 , 医学部中央情報処理部, 講師 (00134461)
|
研究概要 |
呼吸機能検査における音響学的手法応用の最初のステップとして、強制呼出時の気速(Flow)とともに気管音を同時記録し、フローボリュウム曲線(以下FV曲線と略する)の評価・判定における気管音分析の有用性について検討した。 対象および方法:成人健常者21名、閉塞性肺疾患症例 2例、および主気管支狭窄例 2例 の計25例で、強制呼出時の気速と気管音を同時記録した。気速および気管音は、それぞれ熱線型呼吸計(AS4500,ミナト医科学)、およびコンデンサー型マイクロホン(ECM150,SONY)により記録し、データレコーダ(XR-510,TEAC)に収録した。気速曲線は時間軸10ms/mmとして再生し、最大気速(FE【F_(MAX)】L/sec)、一秒率とともにT1/2(FT曲線上1/2FEFMAXのレベルでの時間幅)を測定した。気管音は2KHzの低域通過型フィルタを介しサンプリング周波数5KHzでAD変換、FETによるスペクトル分析を行った。信号処理にはマイクロコンピュータ(9801VM2.NEC)を用いた。 結果:強制呼出時気管音のスペクトル分析では、気速が最大値に到達後、全例で線スペクトルの出現をみとめた。スペクトルの周波数は300Hz-1200Hzの間にあり、最大気速(FE【F_(MAX)】)と正相関していた。閉塞性肺疾患では、呼出時後半に周波数が500Hz前後の喘鳴もみとめたが、最大気速時に対応する気管音の線スペクトル周波数は低かった。主気管支狭窄例では、気速に比べ異常に高い周波数の線スペクトルの出現をみとめた。 考案および結論:FV曲線の判定における気管音分析は、閉塞性肺疾患のみならず、気管支結核や気管支肺癌による主気管支狭窄の発見に極めて有力であり、今後ルーチン検査として採用可能と考えられる。
|