研究概要 |
インピーダンス(IP)法と比濁法での凝集能測定値の差が凝固線溶系の変動を反映することから、2法による血小板凝集能測定がvenous occlusion(VO)負荷による血管機能評価に役立つ可能性を検討した。VO検討では正常者28名、脳外科症例21例を対象とし、中間血圧で上腕加圧5分前後でのクエン酸加血を試料とし、t-PA、PAI、VWF抗原、ristocetin cofactor活性、FDPおよび2法での凝集能を測定した。また、能外科手術齢(15例)では、手術前後で2法を比較した。その結果、(1)VOによりt-PA、PAI、VWF抗原・活性、FDPはいずれも負荷後で上昇、その程度は患者群で有意であった。(2)術前と直後では比濁法で上昇、IP法はむしろ低下した。(3)2法ともに上昇した例の一部では術後、再血栓発作をおこした。(4)FDP値とt-PA値あるいはFDP値とVWF抗原値はともに高い正相関が得られた。(5)VWF抗原値と活性値は必ずしも平行せず、IP法で低値を示した症例でのVWFの解離例ではCIE解析で、VWFのfragmentationが認められた。 以上の成績は2法による血小板凝集能測定、FDP,t-PAをVenous occlusion前後で測ることにより、血管機能あるいは血栓予知のためのスクリーニングとなる可能性を示唆すると考えられる。
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