研究概要 |
超低比重リポ蛋白(VLDL)の水解の律速酵素であるリポ蛋白リパーゼ(LPL)をヒトLPLと免疫学的に交又し、比活性の高いウシミルクからヘパリンセファロースアフィニティークロマトグラフィーで精製した。この標品はSDS-ポリアクリルアマイドゲル電気泳動で単一であった。このLPLには、中性脂肪(TG)水解活性とリン脂質水解活性(PLaseA)活性が含まれている。VLDLを基質としてLPLを作用させたとき、デキストランサルフェイト(DS)を添加するとVLDL-TGの水解の亢進が認められた。その作用をDSの分子量の異なる標品(【I】:1190,【II】:1320,【III】:1370,【IV】:1920)で比較した。その結果DSは、DSのS含量に比例して、VLDL-TGの水解に対するVmaxを高めた。しかしVLDL-TGに対するKmは変化しなかった。また、DSはLPLの安定化作用があるが、この作用はDSのS含量と関係が認められなかった。trioleinを基質としたTG水解活性はDSの低濃度(1μg/ml)では、ほとんど阻害されないが、PLaseA活性は約85%阻害された。このことはVLDLの水解過程で、DSがLPLとPLaseAに作用して、VLDLの代謝調節をしていることを推測させる。
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