昭和62年度で、我々はずり応力下での血小板凝集を連続的に記録する装置を作成し、低ずり応力下では、フィブリノゲンと血小板膜糖蛋白GpIIb/IIIaが、高ずり応力下では、von Willebrand因子とGpIb、GpIIb/IIIaがそれぞれ、必須であることを確認した。このうち、GpIIb/IIIaにずり応力依存性に異った粘着性蛋白が結合し得ることを更に証明する為、GpIIb/IIIa、von Willebrand因子のsite-specificなモノクローナル抗体を用い検討した。von Willebrand因子のGpIIb/IIIaへの結合部位を認識するモノクローナル抗体は、高ずり応力下での血小板凝集のみを抑制し、低ずり応力下でのそれには影響を与えなかった。また、GpIIb/IIIaに対するモノクローナル抗体で、フィブリノゲンの結合には影響を与えず、von Willebrand因子の結合を抑制する抗体が、同様に高ずり応力下での凝集を抑制した。 GpIIb/IIIaはintegria familyの一員として、細胞骨格蛋白と密接な連関を有する膜糖蛋白であり、本年度得られた結果をもとに、更に詳細な検討を予定している。
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