研究概要 |
カンピロバクターは、急性胃腸炎の原因菌として最も分離頻度の高い菌である。我々は、本菌による感染症の迅速診断法を開発する目的で研究を続けている。本年度は、まず本菌の共通抗原を抽出した。加熱上清をSephadex G-100およびハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーにより分画し、45KDポリペプチドを含まず。65KDポリペプチドを主とする抗原を得た。次に、この65KD分画抗原,加熱上清抗原,ソニケート抗原および生菌の抗原4種類をBACB/Cマウスに接種し、モノクローナル抗体(MoAb)を作製した。65KD分画抗原に対するMoAb産生ハイブリドーマ5株,加熱上清抗原に対するMoAb産生ハイブリドーマ4株(65KDに対するMoAb産生株2株,45KDに対するMoAb産生株2株)、ソニケート抗原に対するMoAb産生ハイブリドーマ2株、生菌に対するMoAb産生ハイブリドーマ5株が得られ、現在イムノグロブリンクラスその他の性状を検討中である。得られたMoAbのうち、ソニケート抗原に対するMoAbを腹水化の後、硫安塩析し、逆受身ラテックス凝集反応、micro-ELISA法および逆受身赤血球凝集反応を行った結果、約【10^5】CFU/mlの本菌を検出できることが判明した。更に感度を上げるため、感作方法の検討を行っている。 一方、micro-ELISA法による血中抗体価測定を行った結果、患者血清においてはELISA-IgM,IgAは消長が早く、急性期の単一血清でもELISA-IgMを証明することにより、診断可能な例が多いことが判明した。ELISA-IgGは2ケ月を過ぎた後も抗体価が持続していた。
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