研究概要 |
本研究の目的は、看護学生が卒業までに情報処理についての知識及び技術をどの程度習得することが必要であるかを、実践の場と教育の場との両面からの調査により明らかにすること、そして、これらの調査結果をふまえ、看護情報処理教育のあり方,枠組,内容等を検討するとともに、教育システムを考案することにある。本年度は、実践の場として地域と病院を対象に、現地調査及びアンケート調査を行なった。 地域を対象としたアンケート調査では、老人保健法下における保健事業に焦点をあてて、活動の基礎になる健康管理台帳に関してのコンピュータ化を中心に全国市区町村保健婦に調査を行なった。調査の結果1,103件の回答を得たが、健康管理台帳をコンピュータ化している市区町村は1割にも満たなかった。コンピュータが導入されても、保健婦本来の業務である訪問指導等にはほとんど貢献していないことも明らかとなった。コンピュータの導入の有無に関わらず、保健婦の情報処理に関しての知識不足が、コンピュータを活動にいかすことができない1要因であることが指摘され、今後、保健婦教育には情報処理教育が必須になることが示唆された。さらに、これらの問題点を、都市,農村,漁村の現地調査を行ない、細部にわたって検討した。 病院を対象としたアンケート調査は、全国病院の中から1,047の病院(対象は看護部長)を抽出して行なった。病床数の多い病院では、事務部門をはじめとしてコンピュータが導入されており、看護業務にも積極的に導入ないしは計画が進められている病院もあった。しかしながら、今後の看護業務システムの構築及び改善の成否は、看護婦自身の情報処理に関する知識や技術の獲得が大きく関係しており、教育方法の検討が緊急の課題であることが明らかとなった。現地調査では、病院システムや教育システムの開発が進行している病院での資料収集を行なった。
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