研究概要 |
鍼灸医学における臓腑-経絡経穴系はそれぞれ固有の機能を有し、生体を調節している。しかし、その機能に特異性があるかどうかについては明らかではない。そこで胆のう形態を指標に経穴の特異性について超音波診断装置を応用して検討した。刺激部位として胆のう機能に関係あるといわれている胆経の丘墟穴(原穴),胆のう穴(新穴)および陽陵泉穴(合穴)とした。刺激方法は1分間雀啄,1分間置針を3回繰返えし、刺激後は20分間記録した。なお、対照として無刺激安静臥床30分間の胆のう形態の自然動揺変化をあわせて測定した。被験者は4名,同一被験者に4〜5回,同じ刺激を作用させ、胆のう形態への影響の再現性を検討した。被験者の条件として昼食を抜き、午後4時から実験を開始した。胆のう形態の計測はポラロイドフイルム上の胆のうをコンピュータに入力し、関心領域設定によって面積を求めた。なお、胆のう形態の変化率は刺激前値を100とした場合の増減率から算出した。 以上の方法により実験を行なったところ以下の成績を得た。 1)30分間安静臥床時における胆のう形態の変動は約10%以内であった。 2)丘墟穴刺激では胆のう形態は増加し、拡張を示した。 3)胆のう穴刺激では胆のう形態は縮少し、収縮を示した。 4)陽陵泉穴刺激では胆のう形態は増加し、拡張を示した。 以上の成績より経穴には特異的作用があることが示唆された。しかし、これらの反応は被験者により若干個体差を示し、経穴の特異性を解明するにはさらに検討が必要である。 次年度は人工的に胆のうを収縮,拡張させ、経穴の作用について分析を行なう。
|