磁場に垂直な不均一電界によるE×Bドリフトシア層において、1. 生成される対流胞がカルマン渦列をなし、2. その乱流スペクトラムが高波数領域においてKraichnanの乱流理論に近い依存性を示し、3. この乱流により磁場に垂直方向の粒子束が増大することを見い出した。 1. ドリフトシア層における対流胞の生成 上半面で密度が薄く下半面で濃い円筒磁化プラズマにおいて、上下のプラズマ間に電位を印加することにより磁場に垂直な不均一電界によるE×Bドリフトシア層を形成することができた。対流胞を励起するために独自に開発したターゲット励起法により、シア層におけるドリフトに変動を与えた結果、シア層に沿って密度および電位の大振幅パルス列が伝播した。このパルス列の磁場に垂直な2次元構造は通常の流体と同様のカルマン渦列をなしていることを初めて見い出した。 2. 対流胞乱流の観測と計算機処理 カルマン渦列はさらに発達して対流胞乱流を形成した。乱流の密度および電位変動を観測し、計算機処理によりそのオートパワースペクトラムを調べた。スペクトラムは磁場に垂直方向の波数Kに対して【K^(-(5〜6))】なる依存性を示し、Kraichnanの理論【K^(-5)】に近い結果が得られた。 3. 対流胞乱流による磁場に垂直方向への輸送の観測 乱流の存在しているシア層においてプラズマ密度の2次元構造の乱流強度依存性を解析した結果、乱流により磁場に垂直な密度勾配を緩和する方向ヘの粒子束の増大、異常拡散を観測した。 以上、所期の目的を達成し、現在論文のまとめに取りかかっている。この研究はタンデムミラー炉の拡散等と密接に関係しているため、今後も精力的に研究を発展させたい。
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