研究概要 |
今年度は、理論の体系化の骨格となるタイム・スケールの分離の方法を秩序だてて導入し、分離された各過程を系統的に解析する手法の確立をはかった。ICRF波などの高周波の波動加熱を受けているプラズマは、印加に基づく典型的加熱時間、波のエネルギーが粒子の熱エネルギーになる緩和時間、加熱されたプラズマの損失によって決まる閉じ込め時間に分けられる。それらの違ったタイム・スケールで起こる事象が同時に進行し、かつその複合現象が実験で観測されると解釈できる。この総合過程を解析するために、従来からの我々の開発した"非局所性解析理論"に"波動解析-熱化-輸送"理論を拡充して理論解析体系の拡大をはかっている。実験における分解能と理論解析結果と対応させる事にも成功し、世界各国の装置における結果と比較して相互検討をはじめている。未だ輸送係数のモデルなど検討不足な点は多くあるが、現段階での解析結果は、群を抜き世界に比類なきものに成長した。 一方プラズマ閉じ込めの総体としての比例則は、モデル輸送係数が、局所値で与えられても、系に課せられた境界条件,拘束条件,外部から拘束した保存条件などで違った比例則を示すという知見が得られている。そこでジュール加熱やNBI加熱を受けているプラズマを想定して、、MHD不安定性のゆらぎの影響をモデル的拘束境界条件とした-空間構造の自己形成(プロファイル・コンシステンシー)を解析し比例則を求めた。実験と比較し数々のモデル輸送係数の妥当性など研究した。強加熱や電流駆動等を受けているプラズマでは、完全に熱化していない高速イオンや電子が存在して、プラズマ自体の閉じ込め特性が変わる。不完全熱化に伴う輸送現象の物理モデルを作り、スライド,アウェイ放電の閉じこめ特性や、イオンテイルの損失に伴う輸送量の変化や融合反応率の変化等を解析し、その方面への研究の端緒をつげた。
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