研究概要 |
本年度は二年計画の初年度であり、マルチメディアデータベースシステムとは一体どのようなデータベースシステムであるのかの全体像を明らかにすることに主眼をおいた。まず、マルチメディアデータベースは従来のビジネスデータ処理用データベースから非ビジネスデータ処理用データベース要求の線上にある最も新しいデータベース要求であると認識した。次いで、マルチメディアのメディアとはデータベースとの絡みにおいてどのような意義を持っているのかを論じ、実世界記述に使用するさまざまな記号系を規定する世界であるとした。次に、マルチメディアデータベースとは一体何か論じた。とくに、作業は実世界のデータベース化の過程を洗い直すことから始め、マルチメディア概念モデルを明らかにした。そこではメディア毎に構築されたさまざまなデータベースをメディアの異質性を越えて統合することを可能とするため、統合デザイナが持ち込むオブジェクトベースの存在を仮定し、その結果、オブジェクト参照法というマルチメディア概念モデルの構成法を明らかにした。我々のオブジェクト概念は従来プログラミング言語SmalltalR-80で導入されたオブジェクトと、部品展開の概念をデータベースに持ち込んだ複合(コンプレックス)オブジェクトの二つのオブジェクト概念を含む。従って、我々のマルチメディアデータベースではIS-AとIS-PART-OFの二つの関係がデータモデル中に取り込まれており、強力なマルチメディア表現力を持つ。オブジェクト指向アプローチを採ることにより、ユーザにはメディアの異質性を乗り越えた、統一した、単一のインタフェースを提供出来る。最後にマルチメディアデータベース管理システムのアーキテクチャを考察し、単-DBMS,主-従DBMS,協調型DBMSの三つのアーキテクチャを提案,比較検討した。来年度は詳細設計を行なう予定でいる。
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