研究概要 |
「連想形記憶を用いた画像検索システム」を構成する際の理論的諸問題の検討,システムの設計および記憶すべき画像の情報圧縮の検討等を行った。 先ず、理論的諸問題の検討とシステム設計では、各種の連想形記憶(相関行列型,ベイズ型,一般逆行列型)の動作を理論的に解析し、その結果に基いて、これらの連想形記憶を用いた画像検索システムの設計を行った。又、計算機シミュレーションにより、各システムの動作予測を行った。その結果各システムは次のような特徴を持つことが明らかとなった。 1.相関行列型の連想形記憶を用いたシステムは他のシステムに比べ、システムの構成および変更は容易であるが、検索能力は低い。 2.ベイズ型のシステムは構成が容易で検索能力も比較的高いが、記憶する画像情報の形式に制約を受ける。 3.一般逆行列型のシステムは情報の検索能力は最も高いが、システム構成が複雑であり、不完全なキーからの検索に対して、その動作が著しく不安定になる(検索したい画像情報と全く異なる情報が読出される)ことがある。 更に、以上の連想形記憶に加えて新しい連想形記憶の構成方法を提案し、この新しい連想形記憶を用いた画像検索システムの設計も行った。このシステムは先の一般逆行列型のシステムと同程度の検索能力を持ち、しかも不完全なキーからの検索に対しても安定な動作を行うことが明らかとなった。 一方、システムに記憶すべき画像情報の情報圧縮については、画像の各画素の濃度値を1ビット(2値)に圧縮し、しかも見た目には多ビットで表現しているように見える(擬似中間調表示法)圧縮法を提案した。この方法では、画像情報に対して複雑な符号化・復号化の手順が不要であり、この方法で情報圧縮された画像情報は、先のベイズ型のシステムに記憶するのに極めて有利であることが明らかとなった。
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