研究概要 |
1.自然発症てんかんラット(SER)の維持、繁殖方法の改良 (1)近交化: 常染色体上の劣性突然異遺伝子であるzitterとtremorをともにホモにもつSERは、全例てんかん様発作を自然発症するが、諸形質を均質化するため、近交を進めた。現在、F8代に達した。 (2)SPF化: 他機関への分与を考慮した実験供試集団として、SPFのzitter ratとtremor ratを起源としたSPFのSERコロニーを新規に作成した。 2.SERの特性の評価 (1)脳波所見: 大脳皮質と海馬の自発脳波を検索した。SERは欠神様発作を思わせる行動停止時に、5〜7H3の棘徐波結合波からなる群発放電が認められ、強直性けいれん時には低電位連波を示した。SERの起源系統であるtremor ratもまた同様の棘徐波結合波を伴なう欠神様発作を示したが、zitter ratには発作性異常脳波を認めなかった。また、SERには、海馬のθ波リズムが観察されなかった。 (2)病理学的所見: SERの中枢神経系の主要病変は、空胞の形成であった。顕著な空胞形成を示した視床脳,脳幹網様体,中脳蓋,小脳白質等では海綿状態を呈していた。空胞は大脳皮質,嗅脳,海馬,線状体,小脳顆粒層および脊髄灰白質にも認められた。てんかん様発作との関連を強調すべき所見は得られなかった。 3.今後の研究顆題 (1)SPFの近交系SERを作出する。 (2)成長に伴なう行動,体重,血液性状および脳波所見の推移を検索する。 (3)zitterとtremor遺伝子の遺伝子座位を検索する。
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