研究概要 |
宮崎医科大学動物実験施設において飼育中の各種野生齧歯類を繁殖させるために、本年度は以下のような実験を実施し、いくつかの成果を得た。 1.飼育補助者1名をパートとして雇い飼育室の清掃、給餌(週1回リンゴを与えた)に専念させた結果、飼育環境が良好に成り各種野生齧歯類の繁殖が良くなった。 2.繁殖の悪い種類にたいし種々の交配方法を試みた結果、雄・雌各1頭の組合せが一番良く繁殖することが明かに成った。この番作成時期は亜成獣の時が良く、成獣同士では食殺が多くなった。 3.東京都臨床医学総合研究所実験動物室においてマウスを用いて体外授精や人工授精の技術を習得した。宮崎医科大学においてマウスを購入しこの手法を練習した。この技術は昭和62年度に野生齧歯類に対して実施する。 4.マウスを購入し、ホルモン処理(HCG,PMS)による繁殖実験を実施したが結果は未処理群が繁殖し、処理群では良くなかった。昭和62年度にはこの実験内容を改良しマウスを用いて引き続き実験する。 5.モデル動物開発の目的でアカネズミ,セスジネズミ,ミラルディアを共同研究として以下の実験に供した。(1)フィラリアのモデル動物検索のため:Dipetalonema viteaeをセスジネズミに感染させた(秋田大学医学部寄生虫学教室吉村堅太郎教授)。(2)Sarcocystis(住血胞子虫)の終宿主を決定するため:アカネズミの材料を入手し、これを食肉動物に投与して終宿主の決定をおこない、その際排泄されるAporocystを再びアカネズミに投与感染させる(日本大学大学院獣医学研究科井上勇教授)。(3)乳癌のモデル動物として:ミラルディア雄の鼠径部乳腺に自然発生する色素沈着と乳癌との因果関係を解明する(愛知県がんセンター研究所病理学第二部児島昭徳研究員)。
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