研究概要 |
1.宮崎医大動物実験施設において飼育中の各種野生齧歯類を繁殖維持する方法を開発することを目的として, 本年度は以下のような研究を行い, 飼育中の野生齧歯類の繁殖成績が向上した;1)飼育室の清掃, 給餌(週2回リンゴを与えた)のため飼育補助者1名をパートとして雇った. 2)動物用合成ビタミンE剤(ユベラフード100)をリンゴにまぶして与えた. 3)飼育室の照明を, 自然光に近い太陽トルーライト(40W)に換え12時間明12時間暗とした. 4)都臨床研実験動物室において前年度に引き続きマウスを用いて対外受精および人工受精の手法を修得し, ヨーロッパモリネズミを用いて実験中である. 2.老齢で繁殖不能になったままのミラルディアおよびプラティスリスクはペアーの交換, ビタミンE投与, ホルモン処理等を行ったが繁殖していない. 3.東南アジアで稲作の害獣として著名なアゼネズミは飼育下で繁殖困難と言われている. 今回駆除を目的とした総合研究のためインドネシアから種親が輸入されたが, 本研究班で開発された飼育技術によって繁殖中ですでにF3が生まれている(京大理動物村上興正助手らと). 4.ミラルディア雄の乳腺に自然発症する乳癌と色素沈着との因果関係を解明する(愛知県がん研病理第二児島昭徳研究員と). 5.繁殖が良好で個体数の多くなった種類は, 有用性検索のため以下の感染実験に供した. 1)ヨーロッパモリネズミ, ヨーロッパハタネズミ:広東住血線虫に対する感受性の検討(秋田大医寄生虫吉村堅太郎教授と). 2)アカネズミ:ヘビを終宿主とする新種の住血胞子虫の生活環を解明するため(日大獣医医動物井上勇教授と). 3)アカネズミ, ヒメネズミ, タイワンモリネズミ, ヨーロッパモリネズミ, セスジネズミ, ナンヨウネズミ, スミスネズミ, ハタネズミ, ヨーロッパハタネズミ:腎症候性出血熱ウイルスに対する感受性の検討(阪大微研実験動物山之内孝尚教授, 予研病理倉田毅部長と)
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