研究概要 |
生殖機能の中枢性調節機構を研究するために、視床下部の調節中枢に障害を有する実験動物を作成し、その動物をモデルとして用いて実験的解析を行うことは有効な方法である。この種の方法に、アンドロゲン不妊と連続照明がある。これらの動物では、周期的な排卵のためのLHサージを欠くために連続発情が誘起される。本年度は、妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)による連続発情誘起の機序を解明する一環として、PMSG投与直後における下垂体および卵巣ホルモンの血清レベルを追究した。 規則正しい4日周期を回帰しているラットの発情期(day0)の16時にPMSGを皮下投与して、以後day0の18時,day1〜3の12時に断頭屠殺して血液を採取した。LH,FSH,prolactinはNIDDKから提供されたキットを用い、エストラジオール,プロゲステロン,テストステロンは【^(125)I】標識ホルモンを用いて、夫々ラジオイムノアッセイにより測定した。FSHはいずれの時期においても対照群に比べてやや低値で推移した。LHはday1〜2にかけて、対照群よりもやや高値を示した。Prolactinおよびプロゲステロンには顕著な変化はみられなかった。他方、エストラジオールおよびテストステロンは著明に変化した。即ち、エストラジオールはday2から急増して、対照群と比較してday2には5.8倍,day3には4.8倍の値となり、テストステロンはPMSG投与直後から増加し始め、day2〜3には、対照群の夫々24.9,6.6倍になった。 以上の事から、PMSG投与により刺激された卵胞からのテストステロンおよびエストラジオールの上昇が、膣垢の発情期像を誘発すると同時に、視床下部・下垂体に作用し、性周期を消失させ、連続発情状態を持続させるものと考えられた。
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