研究概要 |
芯地などについて、カップ法により全透湿抵抗値Rを、冷却法により保温率Hをそれぞれ測定し、以下の結果を得た。なお測定は、温湿度センサ,恒温恒湿機(蒸留水を使用)によって標準状態に制御された環境下に行い、透湿に伴った重量変化を電子天秤に付属したプリンタにより読みとった。環境内の風速は定電圧装置を用いて電圧一定とし、制御を厳密にした。○織物のR:内部抵抗値【R_1】は構造が疎で通気性のよいものほど小さく、外部抵抗値【R_2】は【R_1】の逆の傾向となった。○表地と芯地からなる二層の重ね布のR:【R_1】について、実測値の理論値に対する比は、構造の疎な表地を用いるほど小さく、【R_2】の場合は逆に大きい。○表地のみを用いた重ね布のR:布間に空気層を付与した場合、密な織物を用いるほどRの増大効果が大きい。Rの増大量は例外なく、付与した空気層の厚さよりも小さく観察された。○接着芯地と表地からなる重ね布の接着に伴ったRの変化と表地の構成要素との関係:表地の種類に関係なく、Rと【R_2】が減少する。【R_1】は表地によっては接着に伴って増大するものもあるが、その場合でも【R_2】の減少が大きく、全体としてRは減少する。○有風下におけるR:密な組織の織物の方が0.6m/secでは大きく、1.4m/secでは逆に小さかった。風速の増大に伴ったR値の減少の大きさにも、布地の特性が大きく関係する。重ね布の布間に空気層を付与した場合のRの変化は有風下では認めにくくなる。○有風下における織物のH:表面の凹凸の大きい織物ほど、有風下ではHの低下が著しい傾向がある。Hの減少の割合は2m/secまでの風速で大きい。○芯地の洗たくによる消費性能の変化:11種類の芯地について、10回の普通洗たく後の変化を検討した。全体として収縮率,耐摩耗性,保温率,伸度は増大の傾向がある。逆に曲げかたさ,通気度,強度,セング率は減少の傾向がある。単に水に浸せきしただけでも、曲げかたさ,耐摩耗性などに変化がみられる。
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