研究概要 |
近年、婦人の就労の増加に伴い、短時間で調理のできる電子レンジおよびまとめ買いのできる冷凍食品は家庭に広く普及している。しかし、電子レンジによる冷凍食品の解凍は技術的にむずかしくあまり行われていない。そこで、蛋白源として日本人に古くから親しまれてきた魚を試料とし、品質の良い解凍魚を得るために必要な電子レンジの操作条件を確立することを目的として本研究を行った。今年度は、解凍魚の品質評価方法を決定するため、主観的、客観的測定項目を検討した。試料は冷凍メバチマグロを用い、漁獲後2日以内に-60℃で凍結し、-28.3℃で貯蔵したものを12×5×1.5cm(約100g)に成形し、電子レンジで解凍した。主観的測定項目は外観、口ざわり、総合的好ましさについて評点法で官能検査を行うことが効果的と判断された。パネルはお茶の水女子大学調理学研究室員20名とした。また、官能検査を行う温度を3℃〜25℃の間で2点嗜好試験法により検討したところ、8℃〜20℃の範囲がさしみの賞味温度としていずれも有意差なく好ましいことが認められた。従って、今後調理学研究室の恒温恒湿室(20℃)で評価することで、季節による変動を抑えることができると考えられる。客観的測定項目は、物性,鮮度,外観の評価方法をそれぞれ検討した結果、物性はテクスチュロメーター(GTX-2型 全研)による硬さおよび凝集性,針入度計(AN-201型 日本油脂試験機工業(株))による針入度、遠心分離法(28000×g 30min)による保水性,解凍後ロートに入れ20℃2〓r静置後のドリップ量,鮮度は生鮮度試験紙法によるK値,外観は写真撮影による収縮率および局部的な煮熟の出現率により評価することが適当であると判断された。以上を総合して品質評価を行なうこととし、これにより電子レンジによる冷凍マグロの解凍条件を変化させて最適な解凍条件を検索することが容易になった。
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