研究概要 |
甲殻類の代表としてエビ類を選び、試料として南極産及び太平洋産オキアミ、小エビ類を用いて煮熟および焙焼法により生成される香気特性を比較検討し、さらに加熱香気形成に影響を及ぼす生体成分として遊離アミノ酸組成について分析した。焙焼処理は煮熟と異なり加熱処理法により風味の異なるものが出来るためまず条件の検討を行った。エビ類は一般に漁獲後凍結保存してあるため焙焼に際し(1)凍結乾燥(2)解凍の前処理を行ったのち、適当な温度と時間を施し、各々において最も風味のよい焙焼物を得、官能評価を行った。その結果、凍結乾燥したものは多孔質となり砕けやすく解凍後焙焼した方が歯ざわり、風味ともよいことが判った。呈味性に関与する遊離アミノ酸組成についてHPLCで分析した結果、エビの甘味に関与するといわれているグリシンに差はなかったが、アミノ酸総量は解凍試料に多く官能評価を支持した。次に加熱香気特性を調べるため煮熟香気はSDE法で、焙焼香気は全ガラス製の特製装置により減圧下、140〜160℃で焙焼後、【cH_2】【cl_2】で浸漬抽出し、減圧炭酸ガス蒸留を行い分離し、GCおよびGC-MSで分析した。その結果、南極産オキアミ、サクラエビ、小エビ類の煮熟香気は、ピラジン類や含硫アミノ酸の分解により生成されることが知られるチアルジンやトリチオラン類、さらに今回あらたに同定された二環性チアルジン類縁物が主で共通していたが太平洋産オキアミは全く異なった香気成分組成を示した。一方焙焼香気ではチアルジン類が認められずピラジン類やピリドン,アミドが多くなることはエビ類に共通しているが、オキアミ類は【(CH-3)-2】SOが多く、小エビ類はイソバレルアミドが多いなど煮熟とは異なったエビの種類による差異を示し、もう少しデータを追加すれば多変量解析によりこれら傾向を数値的に出すことが可能であることが示唆された。生体成分についていくつか検討したが今年度は上記の傾向を示唆するデータは得られなかった。
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