1.R.Clansinsの熱力学と気体分子運動論に用いられている重要な数式を初期のものを、ほとんどコンピュターに入力して、印刷した。熱力学の式の分析から;力学的な仕事という概念が予想以上に重要な役割を演じており仕事→熱→エントロピーという流れがある。さらにエントロピーの初期の形Q/Tという「比」(ratio)の形をもつ物理量が、この他にもいろいろと現われていることに気がついた。 2.Clansinsの数式に適した検索システムを作るためにPasenl言語によるプログラムを展開させつつある。 3.Clansins自身の完全な文献目録を作るために、調査中であり、分つているものについては、コンピュターに入力し、印刷した。 4.Fownirの解析的熱理論(1822)の影響が、Clansinsの用いた解析的手法;「すなわち二つの物理量、例えば熱量dQとd′Q、の間の差をとることによって、1次の微分項を消去する手法で2次の微分項のみが残る」に大きな影響をもっていることをつきとめた。分献の解読によって、またM.S.(マニュスクリプト)の分析の助けにもよる。この成果について、3月28日の日本物理学会、物理学史分科会(於:名古屋工業大学F会場)で報告する予定である。 明年(62年度)には1〜3を続けて、さらに4についても、研究を完成させて、論文を(現在、書きつつあるもの)完了して、出版できる方向へと計画中である。
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