研究概要 |
1.スポーツ消費者のイノベーション決定期間の長さについて 前回(昭和61年度の分析に)使用したスイミングスクールの調査から, イノベーション採用行動を特徴づける潜在因子を抽出することとし, 因子分析によって推定された11因子を説明変数に使用しながら分析した結果, 新たに次のような示唆を得た. すなわち(1)過去において恵まれたスポーツ条件下にあった者は, スポーツ条件に恵まれてこなかった者に比べ, イノベーション決定に必要とされる時間的長さは短くて済む, (2)コミュニケーションのネットワークに統合されており, 関心を共有する他者と結びつく度合いが高い者のイノベーション決定期間の長さは, かかるネットワークから孤立している者のそれよりも長い, そして, (3)より多くのコミュニケーション・チャネルを用い, 情報源に対して高い信頼を置いている者は, そうでない者と比べ, イノベーション決定に要する期間が長くなる, の3点である. 2.社会体育行政組織の革新性について イノベーション普及機関としての役割を果たすということは, どのような組織環境, 構造, 過程と関係かあるのであろうか. このことを解明するために, 全国市区町村の社会体育行政組織を対象に分析が進められている. 社会体育行政組織の一般的な革新性の度合は, 操作的に, 将来的なスポーツ振興計画を持っているかどうか, あるいは「スポーツ都市宣言」などが行われているかどうか, といったような点から判断することとした. また, 昭和61年1月の文部省告示に先駆けての「社会体育指導者資格認定事業」を, 組織の革新的事業の事例として選定した. 現在, 人口規模やスポーツ進行審議会の有無, あるいは, 指導者登録制度の有無などが革新性の高低に関連することが判明している.
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