早期スポーツ活動が児童の心理的発達に及ぼす影響を検討するため、小学校4〜6年生男女児童(1784名)とその保護者を対象として、次に記すような調査を実施した。(1)スポーツの勝敗に対する態度調査(20項目)、(2)スポーツのゲームにおける行動規範の調査(29項目)、(3)体育の授業に対する態度調査(30項目)、(4)自己概念調査(26項目)、(5)YG性格検査 なお、保護者に対しては、上記のうち、それぞれ(1)〜(4)についてのみを実施し、(2)および(4)については、保護者の立場から自分の子どもを評価する形での回答を求めた。調査の依頼は、各学校のクラス担任を通じて行い、子どもが再び学校へ持ってくるという方法で回収した。 このようにして回収した調査資料を、必要に応じて項目分析し、尺度の信頼性を吟味した後、各調査項目毎に合計点(個人得点)を算出した。次に、フェイスシートに設けられた「運動クラブへの所属の有無」「所属クラブの種目別」「練習への参加態度」等の項目をキーコラムとしてクロス集計し、各カテゴリー毎の平均得点(上記(1)〜(5))を比較した。 その結果、運動部に所属している子どもと、そうでない子どもとでは、前者の方が高い勝利達成欲求を示すこと、よりスポーツマンシップにのっとった行動を多く示していること等が明らかになった。また、こういった傾向は、強いチームに所属している子どもほど強く、YG性格検査、SD法による自己概念調査によっても、スポーツ活動を継続している子どもには独特の心理的特性が存在することが示唆された。 しかし、こういった傾向が何に基づくものか、またそれに対して保護者がどのような関係を持つのか、といったことに関する分析はまだ終了しておらず、次年度の研究課題として残されることになった。
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