研究概要 |
目的:我々は糖質や脂質などの各代謝系の調節に対する栄養条件の働きかけに着目し摂食パターン及び栄養素が合理的な持久能力の発現にどうかかわるのかについて考究してきた. 今回はさらにそれらの因子を組み合わせた場合の栄養生理的効果について糖質代謝を中心として検討を行った. 方法:4週令のICR系雄マウスを用いた. 1週間meal-feedingにて予備飼育後, 次のように群分けを行った. 即ち夕食多食群(S-E)及び朝食多食群(B-E)に分け, これらを各々高脂肪食群(HF)及び高糖質食群(HC)とし, さらにこの4群を1%DL-カルニチン添加食群と無添加食群に分ける計8群を設けた. 各群いずれも一匹ずつケージに入れ約50日間飼育した. 屠殺当日には, いずれも市販粉末飼料1gの食餌を摂取させ, 120分経過後屠殺する群, その後さらに60分間の遊泳運動を負荷し屠殺する群を設け屠殺解剖を行った. 結果:肝glycogenについては運動によりいずれの群も減少したが, その減少割合はHFの方がHCよりも少ない様子にあった. 筋glycogenでは運動後B-E, S-EいずれもHCでは減少傾向を示したのに対してHFでは増加もしくは増加傾向を示す様子にありHCとは異なる現象が認められた. 血清遊離脂肪酸に関しては, 運動後いずれの群も増加もしくは増加傾向にあったがHFの方でその増加度は顕著であった. 血中Insulinレベルは, 運動前の値については, HCでS-Eの方がB-Eよりも著名に高いことが認められたのに対してHFではS-Eの方がB-Eよりも低い傾向を示し, インシュリン分泌に対して食パターンと栄養素の組み合わせが影響を及ぼすことが示唆された. 現在組織中酸素消費量について分析中であり, これらの結果も含めて, 今後さらに合理的な持久性獲得の為の栄養条件を明らかにすることが可能と思われるが, 現在のところ, HF, S-E及びカルニチンの三要因の組み合わせが持久力発現にとって有効であろうと考えられる.
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