研究概要 |
本年度は、体育教師の社会的地位についての実証的研究を二つの観点から行った。一つは、子弟を高校に通わせている父兄が高校の体育教師をどのように評価しているかをみたものである。主な結果として次のような知見を得た。 1.13の職業中、教師は中位の評定をうけている。教師を小,中,高の学校段階別に区分すると、後者ほど地位は高くなる。2.子弟が高校教師を職業として志望する場合の父兄の希望担当教科をみたところ、体育教師は国語,英語,数学,社会についで第4位であった。3.体育教師の地位に影響を及ぼす要因が三つあげられる。(1)課外クラブに対する父兄の態度と子ども参加実態との関係 (2)コース。普通コースは体育教師に対する評価が低い (3)年齢、加齢に伴って評価は低くなる傾向がある。 二つめは、大学生を対象にした調査である。以下のような知見を得た。 1.職業のうちで教師の地位は中程度と評価され、そのうち体育教師の地位は明らかに低い。 2.体育の教師イメージはやや好意的であり、この点男子において特に顕著である。 3.体育教師は総合的にみて中程度の好意的イメージを獲得している。 4.体育教師は他教師に比べて、その評価において「知識や教養の広さ」が重視されている。 5.男子において、職業観、地位の評定基準は体育教師の地位スコアに対して関連性を有している。 6.スポーツ経験・意識・行動は、 女子においてのみ地位スコアと関連性のあることが示唆された。
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